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2020-10-10

〝作風の変化〟と現代評論社「現代の眼」に掲載された山本達郎の絵画

 

〝作風の変化〟と現代評論社「現代の眼」に掲載された山本達郎の絵画

画像左が昭和57年1月号 「壁のある風景」
画像右が昭和55年1月号 「馬車のある風景」

 

山本達郎の作品が表紙に掲載された古い雑誌
が出てきました。
おそらくどちらも80年代の作品ですが、
「馬車のある風景」は70年代後期の作品かも
しれません。
この2作品を比べると大きく作風が変わってい
るいます。
この辺りの違いは、今思うと当時の住環境の
影響も大きい様に感じています。
正確には覚えておりませんが、画像左の「壁
のある風景」が描かれた場所は嵐山近くに住
んでいた頃で、家裏がお墓でした。

「馬車のある風景」に似た作品があるのです
が、その作品の裏にはその前の住所が記して
あり、曖昧な記憶からの推察ですが、美術館
を始めて改めて作品を見返していると、後々
の作品も住環境の変化が作品に影響している
部分があるのでは無いかと、面白いです。

 

この雑誌の巻末に「表紙のことば」が載って
おりましたので掲載いたします。

 

 

表紙のことば「壁のある風景」

若い女性のいる風景を描きたいと思い、古
色を帯びた建物などの好きな部分をそれぞ
れから取り出して頭の中で全く別なものに
組み立てた風景の中に、女性や小動物を配
したいという発想でこの絵を描き始めまし
た。
海を見たり、とうもろこし畑を歩いたりし
ているうちに構想は広がり、定着しました。

 

 

表紙のことば「馬車のある風景」

異国で観た様々な事物を構成して、この絵
を描きました。
遠い国に生活する子供や動物、点在する風
土色の豊かな今と昔の建造物など、心ひか
れた素材を画面上で自由に構築して、私的
な景色を描きたかったのです。
真摯さをもって、白い画布に油絵具を塗り
込めてゆく作業の積み重ねから、より深い
主題を生み出したいと願っております。

 

 

2度のメキシコ旅行

タツロウは1975年と1984年にメキシコ旅行
をしており、作品にはメキシコで見た風景や
事物を良く描いており、1975年以降の作品か
らは何年かの熟成期間を経て、その影響が強
く出てきます。
ですので、異国というのはメキシコでの体験
です。

メキシコは、街を歩けば必ずカラベラ(骸骨)
を目にする国なのに、タツロウの絵には骸骨
が出てこないのは不思議です。

 

 

 

現代評論社「現代の眼」

「現代の眼」は丸山実が編集長を務めた雑誌
で、1969年〜1983年に発行されました。

保守派の論壇誌から全共闘の機関誌と言われ
る内容に変わり、最盛期の東大闘争前後には
4万部〜5万部を発行したいわゆる左翼系の雑
誌です。

詳しくはWikipediaなどでご覧頂けますが、
執筆者には赤瀬川原平さんなどもいたらしく
グラビアページには写真家の中平卓馬さんや
福島菊次郎さんの写真などが掲載され、森山
大道さんが胎児を撮った「無言劇」で実質的
な写真家デビューを果たした雑誌です。

 

 

 

〝作風の変化〟山本達郎の画の魅力

「風(A)」1982年

 

「壁のある風景」の時代、冒頭で家裏がお墓
だったと書きましたが、その時代は「風」が
付くタイトルの同じ様な雰囲気の絵画も多く
描いており、個人的にはどれも暗い雰囲気の
絵画でとても見たいと思える作品とは長らく
思えませんでした。

ところが、絵を引っ張り出してきて皆さんに
見て頂いて感想を聞いているうちに、そうで
もないと思える様になってきました。

色調は暗いけれども、誰かの視点を借りると
犬の表情が可愛いく見えたり暗い中にも光が
描かれているのを発見するのです。

お墓だったという印象が強く残っていたせい
でしょうか。

 

タツロウの絵は同じ人が描いたと思えないと
言われる事があります。
大きく分けて6、7回の変化を遂げています。
その変化が魅力の一つで、若い頃の作品と並
べるとやはり晩年の作品はじっと観ていても
飽きない事に気が付きました。
住環境によって作風が変化しているだけでは
無いにせよ、影響はありそうです。
オモシロイのでその辺り少し気にかけて観て
みようと思います。

 

是非ご感想をお聞かせ下さい。
では、美術館でお待ちしております。

 

 

 

浜屋百貨店さんでの出張美術館を終えて

 

先日、長崎県の浜屋百貨店での出張美術館も
無事終わり、インスタグラムなどを見てご来
場頂いた方々ありがとうございました。

本物は画像とは違うと言って頂けたり、ある
お客様からは全て良いというお言葉も頂戴し、
大変嬉しい経験になりました。

今回、タツロウの絵画がプリントされたタペ
ストリーの様なものも飾らせて頂きました。
大きい絵画を持ち運ぶのは難しいですが、布
にする事により持ち運びが便利で、人目を惹
く事ができた様に思います。

 

私は、以前洋服を製作・販売していた経験か
ら、現在タツロウの絵画がプリントされた服
や衣類の製作を企んでおります。
他では買えない、個性的でオリジナルな商品
をお探しの方は多くおられますので、夫婦で
のコラボレーションという形で製作に入いる
予定です。

次回の出張美術館での販売を考えていますの
で、これから楽しみです。
ご要望・ご質問などございましたら、お気軽
お問い合わせください。

 

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