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2020-10-11

山本達郎「路のみえる風景」毎日新聞 夕刊美術館(1989)

こんにちは、山本美術館スタッフのトモです。
勝手にスタッフだと思っています。

先日、小さなお客さんが来館してくれたそう
で、作業兼留守番をしていたみどりさんに
「趣味で描いてんの?」と1人で入ってきた
子どもに言われた話を聞きました。
「違うよ、プロだよ」という微笑ましいやり
とりを耳にしてオモシロかったです。

さて、今回は古い新聞ですが、過去に作品が
掲載された記事をアップします。
文章も起こしてみました。

 

 

 

山本達郎「路のみえる風景」健康なロマンの香り発散

「路のみえる風景」 昭和60年 カンバスに油彩 162.2 ×162,2センチ

毎日新聞 夕刊
1989年(平成元年)10月2日(月)

 

関西作家 私の一点

「健康なロマンの香り発散」

モザイクのように、鮮やかな色彩で描かれた
若い娘やロバにまたがる少年。果実、樹木、
横たわる犬や猫……。京都の気鋭の洋画家、
山本さんはナイーブで牧歌的な夢とロマンを
たたえたメルヘン調の作品を描き続ける。

早くからカラッとした健康的な雰囲気の女性
像などを描いていたが、ある時、知人に「メ
キシコ風だな」と表された。これがきっかけ
でメキシコに関心を持つようになり、昭和50
年、初めて、メキシコへスケッチ旅行、遺跡
などを見て歩いた。

以来、「暑くて、土っぽい暖色系の色彩が多
いその風土の魅力にとりつかれて」メキシコ
の風物に触発された作品を数多く制作してし
てきた。

作品の画面左に描き込まれているのは、懐か
しさを誘うメキシコ・マヤ文明の石造遺物。
身を横たえた娘、夕餉(ゆうげ)の食卓に供
する果物や木の実を入れたかごを手にする娘
は、大地に根を張った健康なロマンの香りを
発散する。そしてはるかに見える石造りの家
々。過去と現在、夢と現実が交錯する不思議
な空想の風景だ。

「特に甘い雰囲気をねらって絵を作っている
わけでは無いんです」と山本さん。この絵の
場合も、そもそもは、造形的な関心が出発点
で、手前の大地と遠景を区切る線を引いたの
がスタート。それが、人と風景、そして、点
景の猫など描き込むうち次第にメルヘン調の
作品に仕上がっていったというから、これは
生来の資質というものだろう。

今春の個展では、アーチをテーマにした風景
の連作を発表した。「もっとリアルな存在感
のある絵が描きたい。そのために、自然から
得たモチーフをもっと画面に取り入れたい」。
研究と模索の日々である。
(田原由紀雄記者)

 

※モザイク…モザイク技法で描かれた絵画の事でしょう。
テッセラと呼ば
れる鉱石や貝殻のかけら、ガラスなどの
角片
を埋め込んで制作された絵画。

※夕餉…夕方の食事。

 

 

 

山本達郎「路のみえる風景」の時代

さて、「路のみえる風景」ですが、昭和60年
という事は1985年に制作された作品で、達郎
さんは同年第26回安井賞展への出展、奈良の
天展で大賞を受賞された年です。
天展の情報がネットでは全く見つからないの
ですが、この「路のみえる風景」が出展され
たのかもわからないのですが、達郎さんは一
定期間同じスタイルで描かれるので、よく似
た作品だと思います。

誰か情報をお持ちの方がいらしたら教えて頂
きたいです。

 

前回のブログでも書かれていますが、達郎さ
んがメキシコを歩かれたのは2度あり、前記
した文章にも書かれている1975年と、1984年
です。
1975年は後の妻である充子さんも同行されて
います。1984年は1人旅で、現地では相当モテ
たエピソードを充子さんからお聞きしました。
しかし、達郎さんは性的に女に興味が無いら
しく、ただただモテたという出来事を話すよ
うな人で、オモシロイのは普段から女性にモ
テた話などは自身の母親に先に話されたそう
です。
この時代の男性にしては珍しい気がするのは
僕だけでしょうか。
達郎さんが母親に話し、充子さんが義母から
聞く。これだけ聞くと少しマザコンのような
感じもしたのですが、この話にもメキシコっ
ぽい感じがしてオモシロイなと思いました。

というのも、僕もメキシコへ3ヶ月ほど旅をし
た事があり、その時はひと月ほどホームステ
イをしました。
結婚した息子がお母さんお母さんという光景
を見ていたので、達郎さんとメキシコの相性
はそこら辺も合ったんじゃないかと思います。

思えば、美術館へ初めて訪れた時、すぐに
「メキシコや」と感じた感覚を覚えています。
その日にその事を充子さんに伝えて驚かれま
した。
達郎さんの絵からはメキシコを感じれるので、
メキシコが好きな方にもオススメです。

 

今回アップした画像は、たまたま残っていた
ポジフィルムをスキャンしたもので、原画は
山本美術館からはまだ出て来ておらず、おそ
らく売れてしまっている物かもしれません。

売れた絵も相当あるようなので、スキャンし
たフィルムのどの作品が残っているのかがま
だ確認できておりませんが、少しづつGallery
にアップしていく予定です。

では、また。

 

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